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安里が使っている6BASSのエピソード。

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【この記事は過去に開催した企画をもとに書いています。当時の記憶が曖昧になっている点・事実と違っている点があるかもしれません。記事アップ後も関係者に確認をとりながら加筆・修正をする可能性があることをご了承ください。】

6BASSという楽器を演奏している安里(@asatokei1)です。見た目はドラム缶が6個。
とても大きて運びづらい楽器で、演奏する形態も限られているのためか、あんまり奏者がいないんですよね。

そもそも、楽器を手に入れるだけでも苦労します。
でも、スティールバンドにおいて6BASSがあるのと無いのとでは音の厚みが違いますよ。

※スティールバンドとは、スティールパンのバンドのこと。

一人でも多くのプレイヤーが育ってほしいなぁと思い、6BASSの個人レッスンまで始めました。

2019年現在、個人レッスンは中止しています。

スティールパンってなに?と言う人は以下の記事を参照してください。

https://www.keiichiroasato.com/steelpan/

このブログでも、もっともっと6BASSについての話題を増やしていきたいなぁと思いつつ、「そういえば自分が使っている6BASSの記事に取り上げてなかった」
我ながら盲点でした。3年ぐらいブログを書いているのになぜ書いてないんだよ!むしろ一番最初に書いても良いぐらいの話題ですね。

というわけで今回は楽器の話です。
今まで使ってきた楽器は2種類。どちらの楽器にもどちらもかけがえのない相棒です。

目次

PANLAND製の6BASS

大学4年の頃に初めて買った6BASS。とても思い出深いです。

初代 PANLANDの6BASS

軽のミニバンに乗せてあちこちの本番に行きました。懐かしいなぁ。

しかし、こちらの楽器は1年ぐらいで壊れてしまいました。ドラム缶に亀裂が入ってしまったんです・・。

初代 PANLANDの6BASSの亀裂1

初代 PANLANDの6BASSの亀裂2

初代 PANLANDの6BASSの亀裂3

この原因はいろいろ考えられます。

  • 演奏方法が悪かったのか。
  • 運搬の方法が悪かったのか。
  • そもそも楽器が悪かったのか。

今思うのは、どれか一つが原因なのではなくてすべてが原因だと思います。

僕の演奏方法が悪いのはもちろん(当時の僕の演奏を見ると、全身に無駄な力が入っているのがはっきりと分かります。恥ずかしいからyoutubeとか掘り起こさないでね・・。)

運搬方法も疑問が残ります。軽自動車の荷室ギリギリで載せてあっちこっちの本番に行きましたからね。楽器を酷使したと思います。

しかし、気になるのは「すべての楽器に亀裂が入っているわけではない」という点。

もし演奏方法や運搬が原因で亀裂が入ったとしたら、「6個全てのベースに亀裂が入ってもおかしくない」かなぁと思います。

このあたりを野中貿易株式会社(PANLAND製品を取り扱っている会社)の川島さんや、川島さんが毎年トリニダードから呼んでいるチューナー:マリオさんに聞いたところ

「シンキングが良くない」とのこと。

***
シンキングとは・・・
ドラム缶を丸く凹ます工程のこと。スティールパンを作る最初の工程。
良い楽器はシンキングが綺麗で滑らか。そうすることで叩いた衝撃が綺麗に分散されて耐久性が大きくアップする。 と言っていた気がする。
間違っていたらすみません。詳しい方、ご指摘ください。
***

この亀裂の入った楽器をずっと使っていくことに限界を感じた僕は新しい楽器を探すことに。

ANDY NEILSさんと一緒に作った6BASS。

僕のブログに度々登場するこるりん。 こるりんはトリニダードに10年以上通い続けているお方で、僕が2011年に初めてトリニに行った時、特にお世話になった人。

  • トリニダードでの生活上の注意点。
  • トリニダードのスティールバンドの入り方。
  • スティールパン制作者を訪ねて、買うこと。
  • カーニバルの楽しみ方。

などなど、色々な事を教えてくれました。

そんなこるりんが「ANDY NEILSさんを日本に連れてきて、6BASSを皆で作ってみよう!」という企画を立てて下さって。その際に「出来上がった6BASSを安里君に譲るから参加しない?」と誘ってくれまして、もちろん参加しました!

スティールパンを作るなんて、全くやったことがありません。初めてドラム缶にハンマーを入れた時のことは今でも覚えています。

なんせ、全く凹まないんですもん!

びっくりしましたよ。本当に凹まないんです。

すっごい重いハンマーを肩の上から振り下ろしても「ちょこっと傷ができる程度」これ本当なんです。

***

考えてみれば、そりゃそうなんです。簡単に凹んでしまったらガソリンやらオイルやらが流れ出てしまうんですから。ドラム缶ってすごいなぁと思いつつ、そしてスティールパンの制作者も本当にすごいなぁと思いました。
こんなに苦労して作ってくれて本当にありがとう!

***

6BASSを作る企画には10名弱の参加者が集まっていまして、みんなで苦労しながら「シンキング」の工程だけをなんとか終えることができました。

シンキングが終わった楽器は、最終的にANDY NEALSさんの手によって完成させてくれ、僕のところにやってきました。

2代目 ANDY NEILSさんと日本のみんなで作った6BASS

2代目 ANDY NEILSさんと日本のみんなで作った6BASS 2

6BASSが完成するまでに関わって下さった皆様を紹介

こるりん・ANDY NEALSさん・企画に参加してくれた皆さんはもちろん、名古屋のPANSONIDOのトミーさん・藤堂さんなど、多くの人の力を借りてANDY NEALSさんの楽器は完成しました。

本当にありがとうございました。

どうしてわざわざトリニダードからANDY NEILSさんを日本に呼んできてまで6BASSを作ったの?

「テナーパンに関しては良い楽器が日本に増えてきたけど、ギター・チェロ・ベースは全然良い楽器がない。この状況を変えたい」
という、こるりんの強い意志の元、この企画がスタートしました。

  • トリニダードから6BASSを輸入すると輸送中にチューニングが変わってしまうことがあり、結局、そのあとチューナー(チューニングをする人)を呼ばなければいけない。
  • ギター・チェロ・ベースは楽器が大きいから輸送代が高い
  • 輸入する以外の方法でこれらの楽器を日本に増やすルートを開拓したい

というのが主な目的だったと思います。
僕も全く同じことを思っていて、目的が一致しました。

奏者を増やしたいならまず楽器がなきゃ。

そんなの当たり前ですよね。

「6BASSを作れる人が日本に来た方が段取りが良い!」という仮説を実行してみました。

結果として、かなり満足な楽器が出来上がりました。
みんなで作ったというのも良い経験で。なかなかできない体験をすることができました。

こるりん、本当にありがとう。

しかし、その6BASSにも亀裂が・・・。

使い始めて2年ぐらい経った頃、1本のドラム缶に亀裂が入りました。

2代目にも亀裂が 1

2代目にも亀裂が 2

それをマリオさんに見せたところ

「シンキングが悪い」

と言われました。

「またか・・・」と思う反面「シンキングは素人の僕らがやったからなぁ・・・。」と、図星を突かれて苦笑いしかできませんでした。

多くの人の力を借りて作ったこの6BASSも、わずか2年で亀裂が入ってしまいました。
関わってくれた皆さん。本当にごめんなさい。

==現在はPANLANDのモノとANDYさんのモノとを組み合わせて使っています。==

「日本で6BASSを作る」ということは多くの課題がありました。

今回のことを踏まえて僕なりにポイントをまとめてみると

  • ドラム缶の調達が大変。

→6BASSに丁度良いドラム缶がなかなか見つからない。今回は中古のドラム缶を使って製作しました。

  • 楽器を作る場所探しが大変。

→ドラム缶をガンガン叩きまくるので、騒音と振動が相当すごい。

  • 日数がかかる=コストアップ

→素人が作ると上記の通り。良い楽器を作ることは本当に難しい。となると、最初から最後まで職人が作る必要があり、滞在日数が増える。その分コストアップ。

こういった課題が浮き彫りになりました。
とは言っても楽器自体は完成したし、「スティールパン制作を体験する」ということは達成できたのでプロジェクトとしては大成功だったと思います。

今回の企画を通して安里が思ったこと

まず「スティールパンの職人を日本に呼んで6ベースを作ろう」という企画を立てて、実行したこるりん、本当にありがとう!

こんな大きなプロジェクトを成功させたこるりんは本当にすごい。

これほどのプロジェクトだったんだから、楽器を引き継いだ僕がちゃんとまとめて世の中に発信しないといけないなと思ったのでこの記事を書きました。

これから先、同じことを考える人がいるなら、その人へ向けた「レポート」。
さらに進化したプロジェクトが生まれたら嬉しいです。

6BASSの演奏レベルの向上

日本で6BASSを演奏しているほとんどの人は「叩くのが強い」のも事実だと思います。

と、偉そうに言っている僕が一番強かったと思います。ハードヒッター。
(今ではちゃんと適度な力で演奏できていますよ。多分ね。)

言い訳を言わせてもらうと、

  • 「演奏している本人は強く叩いていることに気づきにくい」
  • 「トリニダードのPANORAMAで演奏している人達は強く叩いているように見える(本当は強く叩いていない)」

このあたりの誤解を解いていくのは僕の役目かなぁ。

6BASSに限らず、必要以上の力で演奏すればどんな楽器だって痛みます。そんなの当たり前なんですけどね。
スティールバンドの中に入ると良くも悪くも熱狂しちゃうんです。それは僕が一番良く知っているつもり。スティールパンは自制心も大事です。

最後に

日本で6BASSの演奏を始めてから12年が経ちますが、なかなか簡単に演奏できる楽器ではありませんね・・。その状況はなかなか変わりません。
6BASSを1セット用意するだけでも大変な状況です。

ですが!更に良い6BASSに出会いたいですね。そういう機会を増やしていきたい。
そして、多くの人が6BASSを演奏しやすい環境を作っていきたいと思っています。

[初代]PANLANDの6BASS

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この記事を書いた人

スティールパン奏者・ブロガー。
洗足学園音楽大学打楽器科卒業。
アスタ新長田スティールパンスクール講師。

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