2017年、トリニダードの旅の目的の一つ、「スティールバンドのベースを弾き比べてみる」
日本にいると6BASSを弾き比べるほど楽器の数と種類がないので、トリニダードまで来るしかないんですよ。
というわけで、ミアさんと森本さんの協力のもと、色々なバンドの6BASS(たまに7BASS)を弾き比べてみました。
ここに上げている動画は全てバンドメンバーの許可を得て撮影しています。それをyoutubeに限定公開でアップしています。動画のURLは絶対に拡散しないで下さい。
バンドの誰かに「動画を消せ」と言われたら予告なく即消しますのでご了承ください。見れるうちにどうぞ。
*イヤホン絶対推奨。特にスマホのスピーカーだとベース音が聞こえないと思います。
ラージカテゴリーの主要バンドのベースを試奏させてもらいました。
トリニダードで開催されるスティールパンのお祭り=パノラマ。
パノラマにはプレイヤーの人数や楽器の編成でカテゴリーが分かれています。
- ラージバンド
- ミディアムバンド
- スモールバンド
- シングルパン
などなど。
結果としてポートオブスペインから近いラージバンド部門のベースしか試奏できませんでした。
今回の日数では時間が足りませんでした。カーニバルが終わるとヤードが閉まっちゃうところが多くて、思うように周れなかったんです。いやぁ、我ながら自分勝手な予定を立てたものです。これは誤算でした。
でも、主要なラージバンドのベースさえ見れれば「まずはオッケー」ということにしました。
パノラマの中でラージバンド部門が一番規模が大きいからです。
国を上げての一大イベントなんですよ、パノラマって。
人数の規模も大きいですが、お金の規模も大きいんです。
実は、、パノラマって賞金が出るんですよ。
賞金もラージバンド部門は桁違い(らしい)!
それだけに、楽器は特に良いものを揃えているはず。
ラージバンドのベースを見れば一番良い楽器が分かると思いました。というわけで試奏と聞き込み開始。
Desperadoes Steel Orchestra
Desperadoes Steel Orchestraのフェイスブックページ
デスペラードスのベースはラックに吊られてなかったんですよ。地面に置いてある状態。
(演奏する時は、スタンドに置いたり、ラックに吊ったりする)
演奏時期じゃないから当然といえば当然なのですが。
それでも快く試奏させてもらいました。
チューナーはブッチ・ケールマンさん。
配列は5度。
Gパンと普通のパンが混在していました。やっぱりGパンって音が良い。低音に余裕があるんですよ。もちろん普通のベースパンも良い音です。
Gパンは丸い感じの音で、普通のベースパンはストレートな感じ。(抽象的)
「Gパンってなに?」という方はこちら参照。
Trinidad All Stars Steel Orchestra
Trinidad All Stars Steel Orchestraのフェイスブックページ
オールスターズはラックに吊ってありました。本番と同じように試奏できました。
チューナーはブッチ・ケールマンさん。
配列は4度。
想像していたよりもサスティーンが長った。
芯があって綺麗な音がしていました。
今映像を見返すと、バタバタと演奏しているのが分かります。相当焦っていたんでしょう・・自分・・。
Silver Stars Steel Orchestra
PCS Nitrogen Silver Stars Steel Orchestra
僕が2011年のパノラマ参加の時にお世話になりました。当時よりヤードが随分と豪華になっていることに今見てもなお驚く。
いや、2013年に一度見ているのですが、それでも自分の中では昔のシルバースターズのヤードの印象が強いんです。もっと簡素なヤードだったんですよ。
シルバースターズのBASS(7BASS)はスタンドに置いてありました。
斜めになるタイプのスタンドです。
チューナーはガスタスさん。(ビルダーはブッチさんだそうです。)
配列は4度。
ガスタスはブッチさんのお弟子さんだそうで、2017年現在、29歳(とミアさんが言っていた気がする)の若いチューナーですね。
ガスタスさんのベースはサスティーンが短かったです。
Starlift Steel Orchestra
Starlift Steel Orchestra SVG INC
スターリフトのベースもブッチさん。
配列は5度。
サスティーン長め。
Phase II Pan Groove
Phase II Pan Grooveのフェイスブックページ
チューナーはブッチさん
配列4度・・・かな?
サスティーンはかなり短め。後で分かったことですが、これはブグジーさんがチューナーにリクエストして短くしてもらっているようです。
Exodus
こちらは別日に試奏させて頂きました。
試奏動画は撮れませんでした。すみません。
エクソダスと言ったら全てのパンをハーマンガッピーさんがチューニングした楽器で揃えていることで有名ですが、ガッピーさんは2015年に亡くなってしまいました。
後任はマリオさんが担当しているそう。
とても気持ち良い音。さすがエクソダスという感じです。
配列は5度。
個人的な感覚ではストレートで硬い音という感じ。
思っていたよりサスティーンは長めだったかな。
ほとんどがブッチさんのベースだった。
というわけでほとんどのベースがブッチさんのものだった。(エクソダス除く)
ミアさん曰く、レネゲイズもブッチさんのチューニングだと言っていました。
その事実は分かった。
「色々なチューナーのベースの音を聴いてみたい」という目的はそもそも間違っていて「ラージバンドのほとんどがベースパンのチューニングをブッチさんに依頼している」ということが分かりました。
*もちろんミディアムやスモールバンド部門のバンドにはブッチさん以外のベースもあると思いますが今回は調査できず。今後、その調査をしてみても面白いかも(超時間掛かりそう・・・笑)
ブッチさんがチューニングするベースはとても良くて、トリニダードのパンマンから絶大な信頼を得ているということですね。
最後に疑問が残る。
- ほとんどのバンドがブッチさんに頼んでいるのに、どうしてそれぞれ音色が違うのか。
- サスティーンの長さが違うのか。
- ブッチさんが作った後に、別な誰かがチューニングして変化していったのか。
- ブッチさんが最初から違うように作ったのか。
ということはチューナーはサスティーンの長いパンと短いパンを作り分けることができるということ?
(例えば、オールスターズとフェイズツーでは音の伸び方(サスティーン)が全然違う。)
色々疑問が出てきたので、後日チューナーのマリオさんに聞こうと思う。
調べれば調べるほど新しい疑問が出てきて終わらないループに・・・(@_@)