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トリニダード帰国後に気づいたこと「楽器を変えても腕を磨かなければ良い音は出ない」

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自分の新しいパートナーになる楽器を探しに日本の裏側トリニダード・トバゴまで行って来た安里(@asatokei1)です。

現在、僕はスティールパンという楽器の6ベースという楽器のプロ奏者として活動しています。
日本にいる6ベース奏者は数人。プロ活動をしている6ベース奏者はほとんどいないのが現状です。
(趣味で6ベースを演奏している人はいますが、プロとして活動しているのは僕以外に知りません。)

6ベースってどんな楽器?という方は以下の動画を見てみてください。ドラム缶を自分の周りに6個並べています。

目次

楽器に会いに行く旅とその以前の話。

6ベースを見たことがないという方も多いと思います。
日本にある6ベースの数が圧倒的に少ないし、奏者も数える程。

しかし、この6ベースという楽器、スティールパンのバンドを組むには欠かせない楽器で、6ベースがあるとないとでは迫力が違います。

それに気づいた僕は、日本に迫力あるスティールパンのバンドをサウンドを鳴らすべく、6ベースの活動を開始しました。

参考記事→
ちょっといい話。-PNM始まりのエピソード- : freestyle K.A.

6ベースの演奏活動を始めると、色々な問題にぶつかりました。まず楽器がほとんど無いこと。
ましてや、プロの活動を支えるほどの質の良い6ベースは皆無。

とても世話の焼ける楽器です。だからこそ誰もプロ活動ができなかったとも言えます。

とにかく楽器が必要だった僕は「トリニダードに行って楽器を注文しよう」と思い立ち、2017年3月に単身トリニダードへ渡航。
6ベースを発注できました。
:参考ついに!スティールパン界で重要なチューナーの一人:ブッチさんにお会いできました。

楽器に会いに行く旅から帰って来たら自分の音が良くなっていた。

日本に帰国してから、自分に大きな変化がありました。
明らかに自分の出す音が良くなっていたんです。

良い音が出るようになったのはとても嬉しいことなのですが、同時に気づいてしまいました。

良い音を出すに為に必要なのは「腕前」であるということに。

僕は、良い楽器に変えないと良い音は出ないと思っていたのですがそれは間違えで、
「良い音を出すのに必要なものは良い楽器じゃなくて、演奏の腕前」
というのが至極当然の事実でした。

あれだけ「良いベースがない」「良い音が出ない」と悩んでいた自分が嘘のように、見違えるほど良い音を鳴らすことができたのでした。今までと全く同じ6ベースで!

「良い楽器に出会いにいく旅」を終えてしまったことで次の世界が見えてきたのか、
音楽の神様からのお告げだったのか、

どちらにしても、音楽家として、いや、一人の人間として大事なことを学びました。

良い楽器も手に入った。
音楽家として良い心構えも整った。

準備は完了しました。
もうすぐ来るブッチさんの楽器を使って自分の音楽をもっと育てていけます。

良い音は「自分の中に良い音を作れないと外に出ない」

自分の中に出したい音をイメージして、どうしたらその音が出せるか。
それを追求していかないと良い音は出ませんね。

  • 楽器の立て方
  • バチの握り方
  • 演奏する時の姿勢
  • バチが打面に当たる角度・時間
  • 客席に届く音のイメージ

(以上はスティールパンを演奏する時に気をつけることをザッと書いてみました。)

などなど、考えることはたくさんです。
トリニダードで色々なベースに出会ったのも相まって、自分の中に「色々な良い音」のイメージが増えました。

6ベースの可能性が広がった感じです。

今までは6ベースという楽器は「限られたジャンルの楽器」という認識だったんでしょう。
演奏方法も難しいし、音域は狭いし、音程も聞き取りづらいし。

ハンデばかり見ていたんです。そんなんで良い音が出るわけない。

僕は勝手に6ベースに限界を作っていたのでした。

楽器とは演奏者(所有者)はパートナー。

  • 良い音を出したい。
  • その為に、自分が持っている楽器じゃ限界がある。
  • よし、じゃあトリニダードに行って良い楽器を買ってこよう。

そんな思いで2017年の3月、単身トリニダードへ行ってきました。
結果として、最高のチューナーに出会い、楽器を購入することになりました。

しかし、良い音を出すには「楽器じゃない」ということに気づいてしまった。
だからと言って「良い楽器を使わない」ということではないですよ。
せっかく買った最高の6ベース。大切に使っていきます。

何が言いたいかというと「良い楽器に変えれば良い音が出ると思っていた自分のバカさ加減に気づいた」ということ。

音楽というのは「楽器から音を出せば良い」だけでは終わりません。そんなところで終わっていたら人は音楽にこれほど感動しないでしょう。

良い楽器に変えたところで、自分が今までのままなら音も変わらない。

周りにいるでしょ?

「この楽器、○○というメーカーの□□年製のモデルでさー。プロの△△さんも使っている超良い楽器なんだよね〜うんたらかんたら。」

とかいう人。

「で、その楽器を使ってあなたはどんな音楽をするの?」

ということです。
良い楽器は良い奏者が持って初めて意味を持ちます。
その楽器が持つ良さを最大限に引き出せなかったら意味が無い。「宝の持ち腐れです。」

100歩譲って楽器コレクターは理解できます。コレクションするのも大変な労力ですし、使命を抱いてコレクションしているのでしょうから。歴史的価値のある楽器・貴重な楽器はちゃんと保管するべき。ただし、楽器自慢だけの人は論外。その人がすごいのではなく楽器がすごいだけ。

良い演奏者が良い音を出して、良い音楽にする。
良い楽器というのはそれを手助けしてくれるモノ=パートナー=

音楽の本質をまた少し理解できた気がしました。

色々な人達の協力を得て、ブッチさんが作ってくれた最高の楽器が届きます。
ブッチさんのベースの魅力を最大に引き出せる演奏者になろうと思います。

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この記事を書いた人

スティールパン奏者・ブロガー。
洗足学園音楽大学打楽器科卒業。
アスタ新長田スティールパンスクール講師。

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